この王国には、守護精霊が存在する。
しかし人間の目に映ることは滅多にない。
人間の目に映る時。
それは守護精霊の選んだ人間が、守護精霊を受け入れた時だ。
ミカエラに見えなくても守護精霊たちは存在し、彼女の側で色とりどりの花が咲き乱れる庭園を飛び回っていた。
守護精霊たちはささやく。
「ミカエラは、今日も悲しそうだね」
「そうだね。昨日も悲しそうだったね」
「何とかしてあげようよ。このままだと明日も悲しいままになっちゃうよぉ」
オレンジ色に光る守護精霊は不満げに頬を膨らめた。
薔薇の花よりも小さな体には透明な羽が生えていて、背中でパタパタと忙しく動いている。
「ボクだって彼女のために何かしてあげたいよ」
青く光る守護精霊は空中をクルンと1回転した。
「そうだね。ボクたちに出来ることは、もっとあるはずだ」
この王国には神殿があり、守護精霊が信じられていた。
そして実際、守護精霊たちは王国に存在する。
守護精霊たちは空中をクルンと1回転するごとにキラリと光って庭園に華を添える。
「ミカエラは、せっかく異能を授かったのに。このままでは不幸になってしまう」
オレンジ色の守護精霊は、不満げだ。
「あの異能は呪いみたいな面があるよね」
青い色の守護精霊は沈んだ表情を浮かべた。
「それをいうなら、ボクたちだって呪いみたいなものじゃないか」
「守護精霊なのに?」
オレンジ色の守護精霊が言うと、青い色の守護精霊は首を傾げた。
「気付いてもらえない、なにも出来ない守護精霊をやるのなんて。呪いみたいなものじゃないか」
「それはそう……なのかな?」
プンプンと怒るオレンジ色の守護精霊を眺めながら、青い色の守護精霊は首を傾げる。
そんな青い色の守護精霊に、オレンジ色の守護精霊はキラキラ光りながら詰め寄った。
「そうだよ、加護を届けることが出来ない守護精霊なんて、呪いにかかっているようなものじゃないか。でもボクたちは守護精霊だよ⁉ それでいいわけないっ!」
「そ……そうだね」
オレンジ色の迫力に、青い色はタジタジした。
「なんとかしなきゃ!」
「うん。なんとかしなきゃ」
オレンジ色は張り切って、青い色も同意したが、具体的な策があるわけではない。
「ボクはミカエラに気付いてもらわないと」
オレンジ色の守護精霊は健康を守護する。
「ボクに気付いてもらえたら、